研究概要 |
本研究は, (1)ランダム共重合体ブレンドの相溶性と異種モノマー間相互作用との関係を明らかにすること, (2)共重合体系ブレンドにおける分子間相互作用を異種モノマー間相互作用から理論的に評価する. また, その過程でランダム共重合体ブレンドおよびその溶液の種々の熱力学量を実験的に評価しその理論的予測の可能性を検討すること-を目的に行なわれた. 1.ランダム共重合体を含む高分子ブレンドは, たとえ, その構成モノマーから成るホモポリマーの組合せが相溶しなくても, ランダム共重合体においては, ある共重合組成で他の高分子と相溶する場合がある. そのような場合, 1つの共重合体における構成モノマー間の斥力が相手の高分子とその共重合体構成モノマー間の斥力より十分大きい. また逆に, 共重合体構成モノマー間の引力が十分大きい場合, 相応するホモポリマー同士がたとえ相溶しても, 共重合体同士はある共重合組成で相溶しない. 今回, 後者の実例をも見出した. 2.状態方程式理論をランダム共重合体系に拡張し, ランダム共重合体でレンドの分子間相互作用を, 構成モノマーに対応するホモポリマーの熱力学量および構成モノマー間の相互作用から評価することを試みた. まず, 共重合体ブレンドを含む溶液, すなわち, 3成分系に適用した結果, 分子間相互作用を含む種々の熱力学量について, 実験値と理論値との良好な一致が得られた. 次に, 共重合体を含む高分子ブレンドに適用して得られた. 分子間相互作用の共重合組成依存性は, 別に得られた相溶性の実験結果と定性的に一致した. 以上のように, 本研究では, ランダム共重合体ブレンドおよびその溶液における分子間相互作用および種々の熱力学量の理論的評価が可能であることを示した.
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