研究課題/領域番号 |
61550655
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
中村 良治 福井大, 工学部, 教授 (80020189)
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研究分担者 |
堀 照夫 福井大学, 工学部, 助教授 (90092832)
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キーワード | 羊毛の細胞間充填物 / 電子移動担体(mediator) / ヒスチジン-銅錯体 / 共役酸化還元機能膜 / 補酵素NADP / NADPH / グルタチオンレダクターゼ / グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ |
研究概要 |
ギ酸により抽出した羊毛の細胞間充填物の酸性側でのディスク電気泳動により、その成分の一部に塩基性アミノ酸に富むポリペプチドの含まれることを確かめた。充填物の酸化還元mediatorとしての機能を評価するため、チオグリコール酸によるメチレンブルーの還元脱色速度に及ぼす塩基性アミノ酸-銅錯体の触媒効果を検討した。この結果用いた塩基性アミノ酸のうちヒスチジンが最も脱色速度定数を大きくした。また、充填物を尿素で可溶化したものについても明確な脱色促進効果が認められた。從って、上記塩基性ポリペプチド鎖中のヒスチジン-銅錯体が反応に寄与しているものと突留め得た。 次に、共役redox反応を膜を介して作動させるための膜素材として末端にイミダゾールでブロックしたイソシアネート基をもつ親水性プレポリマーを合成し、これとトリアミンを反応させることで、酵素吸着能のあるカチオン性ハイドロゲル膜を形成させることに成功した。redox反応として、まず、膜中に羊毛より抽出した充填物を包括することで膜を介してのメチレンブルーの脱色反応を起させることができた。ついで、酵素を用いてのredox反応の例として二槽型セルに当該の膜をセットし、反対側槽にグルコース6リン酸デヒドロゲナーゼとその基質を、反対側槽にグルタチオンレダクターゼとその基質、酸他態グルタチオンを投入、補酵素NADPを含有させた膜を介して共役redox反応を作動させることに成功した。そして、膜中のNADPもしくはNADPHが単に補酵素として働くのみではなく、これらが膜中で電子交換し、電子移動担体としても働らいているという重要な知見を、ダルタチオンの生成速度とNADPHの拡散流束値の対比から把握した(第3回膜シムポジウムにて発表予定)。なお、この系の酵素反応の追跡のため、NADP存在下における酵化態および還元態グルタチオンのポーラログラフ的定量分析法を予じめ確立しておいた。
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