研究概要 |
膜を介しての共役酸化還元反応の作動:安定化イソシアネート基を持つウレタン系プレポリマーと三官能アミンとの反応で得たカチオン性ハイドロゲル膜を二槽型セルにセットし右図のような反応系を組み, 膜を介しての共役反応を作動させ得た. ここでG6Pはglucose-6-ohosphateで, G6-PDはそのdehydrogenase(E1),GSSGは酸化態glutathioneで, GRDはそのreductase(E2)であり, 両酵素は膜のカチオン荷電により膜面に保持されている. 共役反応の作動機構として, 膜中に吸着させた補酵素NADPとNADPHとの間での自己電子交換が進み, 結果的に膜の左面より右面に向け電子流とプロトン流が発生し右膜面でのGSSGの酵素還元の拡散が起こるものと結論した. (GSSGの還元速度と同一膜を用いて求めたNADPHの拡散流束との対比=担体効率による. ) 羊毛の細胞間充填物δLの電子移動機能:ギ酸により羊毛から抽出された細胞間充填物δLをアミン水溶液に溶解しプレポリマーと反応させて得た膜を用いての担体効率は, δL未包括の3.5に対し約100倍向上した. 担体δLには, 銅イオンが含まれ, またディスク泳動とアミノ酸分析の結果, ヒスチジン残基に富むポリペプチドの含まれること, δLをコートしたBPG電極でのnethylviogen(MV)の, および未コードBPG電極でのδLのモデルとしてのhistidine-Cu^<2十>錯体とM.Vの混液のcycric voltammetry等により, 膜中での補酵素両態間での自己電子交換に対しδLが加速効果を与えるという共役の作動機構を明らかにし得た. (図参照). なお共役系では補酵素はリサイクルされ, その使用量は基質の数分の一で済み, かつ, 両基質の分離によりクリーンな状態で目的物GSHが得られた.
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