研究概要 |
多孔性吸着媒に対する一連の単分散ポリスチレン(PS)の吸着をCCl_4溶媒中で行なった。分子サイズと比較して小さい細孔径を有するCPGガラス表面への平衡吸着データをフラクタル表面に対するフラクタル分子の吸着として解析した。CPGはガラスの分相現象を利用してガラスマトリックス内にスピノーダル分相構造を発生させ、一方のホウ酸ガラスを溶解して孔をあけたものである。単位面積当りの吸着分子数nと分子サイズrとの間にnαr^<-D>が成立する。本実験ではフラクタル次元D=-2.30を得た。昨年の多孔性シリカゲルではD=-2.60であった。その差は多孔性ガラスと多孔性シリカの変調構造の差と粒径や溶媒の差異を反映している。吸着分子はある程度細孔径に入り込んで吸着していることが予想される。 つづいて、細孔径の小さい(30〓)の球形シリカクロマト充填剤を用いて、PSとポリメチルメタクリレート(PMMA)の置換え吸着実験を行なった。実験1.カラム内の充填剤にPSを飽和吸着させ、つづいてPMMAを注入してPSを脱着させたが脱着しなかった。実験2.カラムにPMMA溶液を注入して24時間放置後、溶出液を分取分析した。その結果、PSの一部はPMMAにて脱着されたが完全ではなかった。カラムクロマトグラフィーでは完全な置換えは不可能であることを示している。脱着剤を1,4ジオキサンに変えてグラジエント溶出を試みたところ、ジオキサン組成の小さいところからPS、SーMMA共重合体のスチレン組成の大から小へ、最後にPMMAが溶出される。この方法が組成分別の可能性を示している。吸着クロマトグラフィーでは吸着と脱着の繰返しが分解能の上昇に役立つとされるが、本実験では脱着されたものが再吸着する時間はカラムクロマトグラフィーでは不十分であり、分離は分別脱着あるいは分別溶解が分離を支配していることになる。
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