研究概要 |
1.ポリスチレン(PS)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のシリカ表面での置き換え吸着機構を明らかにするために、トリクレン溶液で無孔性アエロジルシリカを用いて実験を行なった。先に吸着したPSをPMMAによって完全に脱着させることをバッチ法で成功させた。PSとPMMA混合溶液からの吸着では低濃度では表面に両者が共存するが、濃度の増加と共にPSは脱着され、最後はPMMAのみが表面に吸着した。 2.バッチ法ではPSをS-MMA共重合体で脱着させることが可能であり、スチレン含量の大きな共重合体はMMA含量の多い共重合体とPMMAで脱着される。 3.変調構造より作られた多孔質シリカ粒子および多孔質ガラスビーズへのPS吸着はフラクタル表面へのフラクタル分子の吸着挙動として解析できる。単位表面積当りの吸着分子数nと分子サイズの間の関係式nαr^<-D>が成立し、フラクタル次元Dが求められた。多孔質シリカではD=-2.60、多孔質ガラスではD=-2.30となり、変調構造の差、溶媒、粒径などを反映してその差異が生じている。 4.多孔性シリカ充填剤を用いる置き換え吸着クロマトグラフィーでは、高分子量のPSをPMMAで置き換えることは出来なかった。その原因は置き換えに必要な時間をクロマトグラフィーでは達成できないためである。脱着剤として低分子の1,4ジオキサンを用いた場合には、平衡吸着高分子を組成差によって脱着させることに成功した。すなわち、ジオキサン組成に小さいところからPS,S-MMA(S含量大)、S-MMA(S含量小)、PMMAの順で脱着された。結論は吸着クロマトグラフィーでは脱着と吸着の繰り返しで組成分別されるのではなく、分別脱着が支配的であると考えられる。
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