1、本補助金で購入したレオメータを大幅に改造し、石英製のコーン・プレートを備えたレオメータとなし、光学系を組み合わせて、せん断変形中あるいは変形停止後の試科の応力と偏光光の透過光強度を測定できるようにした。光学系は、流動方向が対角位となる直交偏光子系透過光強度(【I_x】)、並行偏光子系透過光強度(【I_(11)】)および流動方向が消光位となる直交偏光子系透過光強度(【I_E】)を測定することが可能である。 2、典型的な高分子ネマチック液晶であるPBG(ラセミ化・ポリ-δ-ベンジル・グルタメイト)のライオトロピック液晶系を用いて、種々のせん断速度のもとでせん断変形を与え、流動中および変形停止後のデスクリネーションの変化を光学顕微鏡で観察すると同時に、直交偏光子系透過光強度(【I_X】および【I_E】)の変化を観測した。その結果デスクリネーションの成長や消滅に最も関係の深い光学量は、【I_E】であることが明らかになった。流動領域がニュートン的である(第【II】領域)せん断速度に属するせん断速度でせん断変形を与え、変形を停止すると【I_E】は時間とともに一坦増加し、その後時間とともに減少することがわかった。【I_E】の極大を与える時間は、与えたせん断速度が大きいほど短時間となることが明らかとなった。この時間は与えたせん断応力と一定の関係にあることがわかった。【I_E】の変化はデスクリネーションの数と強度の積を反映しているものと考えられるが、なぜ【I_E】が一時的に極大をとるのか詳細は不明であり目下検討中である。
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