研究概要 |
共重合体または単独重合体のミクロ不均一または均一構造界面と上層膜(共重合体や混合系)とのポリマーセグメント間相互作用に基づく液相エピタキシャル成長によるミクロドメインの配向制御可能性を検討し, この結果をモザイク荷重膜, 抗血栓性医用材料へ応用することを目的とし, 以下の成果をえた. 1.イミダゾール基をもつアゾ系開始剤によるラジカル1分子停止系でポリ酢酸ビニル, ポリスチレン(PS)等の片末端イミダゾール化ポリマーを合成し, 末端基修飾よりスチリル・メタクリロイル, エポキシ基等を導入した. これら反応性ポリマーの共重合, 高分子反応からグラフト共重合体を簡便に合成する方法を確立した. 2.液相エピタキシャル膜を以下の組合せ(支持膜-上層混合系):(1)ポリ[s-b-4-ビニルピリジン(4VP)]-PS/P4VP, (2)ポリ[ビニルアルコール(VA)-g-4VP]-PVA/P4VP, ポリビニルベンゼンスルホン酸Na/P4VP, ポリアクリル酸(PAA)/P4VP, (3)ポリ(s-g-HEMA)+PS/PHEMAで検討した結果, 混合系でも垂直配向したミクロドメインをえた. 3.この上層膜1成分をエッチングして数10nmの規則的ドメインパターンをリングラフィする技術も確立した. 4.橋かけPS上にボリ[s-b-イソプレン(Ip)]をエピタキシャル成長させ, PS/PIpラメラまたPIp棒が支持膜界面に水平配向したミクロドメインがえられた. 5.多孔性のPVAまたはポリ塩化ヒニル膜上にポリ(VA-g-4VP)-PAA/P4VP混合系の垂直配向した液相エピタキシャル膜を構築させ, 化学修飾によるドメイン固定, 荷重導入を行い, 弱酸一強塩基型のモザイク荷重複合膜を調製した. 塩透析実験の結果, 塩濃縮の効果を確認し, 塩-低分子有機物系の選択分離能も評価検討した. 6.今後は垂直ドメイン配向したPHEMAハイドロゲル素材を人工血管等の医用材料へ応用展開する必要があろう.
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