研究概要 |
本研究は, ケイ素を含有するアセチレンから新しい高分子量ポリマーを合成し, その特異な性質を明らかにし, 機能の開発を試みることを目的とする. 本研究の成果は以下のように要約される. 1.3-(トリメチルシリル)-1-アルキンからのポリマーの合成と特性-4種の3-(トリメチルシリル)-1-アルキン〔HC〓CCH(Sime_3)R:=CH_3, n__--C_3H_7, n__--C_5H_<11>, n__--C_7H_<15>〕の重合を検討した. Mo, W, Nb触媒などによりこれらのモノマーから高い収率で新しいポリマーが得られた. いずれのポリマーも〓CH=CCH(SiMe_3)R〓nなる構造を有していた. R=n__--C_5H_<11>のポリマーは最高45万という高分子量を有し, トルエン, クロロホルムなど多数の溶媒に可溶であり, 成膜性があった. このポリマーの導電性は10^<-18>S・cm^<-1>, 不対電子密度は<1×10^<15>スピン/gであった. さらに気体透過性についても検討した. 2.シリルアセチレンの重合とポリマーの性質-5種のトリメチルシリルアセチレン同族体(HC〓CSiMe_2R:R=n__--C_6H_3, CH_2CH_2PH, CH_2PH, PH, t-Bu)の重合を検討した. いずれのポリマーも適当なW触媒によりポリマーを生成した. ポリマーは黄色の固体またはゴム状物質であった. 柔軟な置換基(R=n__--C_6H_<13>, CH_2CH_2PH, CH_2PH)をもつポリマーは有機溶媒に完全に可溶で, 分子量は1万前後であった. 3.3-シリルー1-ヘキシンの重合とポリマーの性質-2種の新規含ケイ素-置換アセチレンであるHC〓CCH(SiMe_2R)-n__--C_3H_7(R=n__--C_6H_<13>, PH)がMo, WおよびNb触媒により良好な収率でポリマーを生成した(分子量10万〜40万). 両ポリマーとも黄色の固体であり, 多くの有機溶媒に可溶で, 成膜性をしていた. これらポリマーの熱, 力学, 電気, 磁気などに関する性質を明らかにした.
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