研究概要 |
上記表題に関する研究の1年目にあたり、次の2種の実験を行った。 1.撹拌槽内流動に関する検討: レーザ光を利用した鉱石濃度測定システム開発に関する基礎検討を行った。すなわち、鉱石濃度検出用センサー,インターフェース,マイクロコンピュータから成る測定システムを組み、信号解析用ソフトウェアを作成したうえで、システムに模擬信号を入力させたところシステムが予定通り機能することがわかった。 2.亜鉛焼鉱の硫酸抽出に関する速度論的検討: 亜鉛精鉱の焼鉱を乾式粉砕後、節分して得た-80+200メッシュの粒度のものを試料とし、500mlの市販ガラス製撹拌槽を用いて1N硫酸により抽出した。温度15〜60℃のもとで抽出し、液中の鉛,銅,カドミウム,鉄の濃度を原子吸光法を用いて分析して各金属の抽出率の経時変化を求め、次の結論を得た。1)亜鉛,銅,カドミウムの抽出状態は類似しており、抽出開始後1〜2分間の抽出が急激に進む(抽出率にして55〜90%)期間とその後抽出率が100%になるまで抽出が緩慢に進む期間(〜100時間)があった。2)鉄の抽出速度は極めて遅く(他の金属の1/1000以下),抽出率が80%に達するには抽出温度60℃で70時間以上もかかった。(鉄は亜鉛精鉱の焙焼中にジンクフェライトとして酸化亜鉛の中に取り込まれるためと考えられる。3)亜鉛,銅,カドミウムの抽出が緩慢に進む期間と鉄の抽出期間は一致しており、この結果から銅,カドミウムの一部分もジンクフェライトの結晶構造中に存在しているものと推定される。4)各金属の抽出速度はともに温度が高くなるにつれて増加し、中でも鉄の温度依存性が最も大きかった。5)亜鉛,銅,カドミウムの初期抽出および鉄の抽出をvolume reactionモデルを用いて解析したところ、実験結果を良好に説明できた。本モデルによる活性化エネルギーは、亜鉛について15KJ/mol,鉄については43KJ/molであった。
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