1 先ず紫膜(バクテリオロドプシンの結晶構造の膜断片)を組み込んだりポソーム再構成膜系において、そのプロトンポンプ機能を測定したところ (1)光照射時における【H^+】漏れ速度が光量により変化する事実から、紫膜が一方向に100%必ずしも配向していない。 (2)プロトンポンプ阻害係数が、光量が零となる近傍においても零とならない事実から、プロトンポンプ活性は、必ずしも光量のみの函数でなく例えば【H^+】電気化学ポテンシャル勾配もその要因となることが推定される。 等の現象が予測され、従って蛋白が100%一方向へ配向した紫膜の一断片のみの活性を、既定された条件下で測定できるパッチ電流法の有効性が判明した。 2 パッチ電流法における膜の採取方法としては、生細胞から直接採取することをその最終的な目標としてその予備的な検討を行なった。測定の際障害となる好塩菌の細胞壁のみを破壊して溶菌という状態にまで至らないスフェロプラスト化細胞を実現するための方法を、まず食塩濃度変化法により検討した。食塩濃度をその培養条件の4molから段階的に低減させながら、蛋白及びDNAの流出量により細胞壁の破壊及び溶菌の状態を測定したところ、ある食塩濃度以下で急激にスフェロプラストを経て溶菌化にまでいたることが明らかとなり、より微妙な食塩濃度の調整が必要であることが判明した。今后さらにプロテアーゼによるスフェロプラスト化を検討する予定である。 3 pA程度の膜電流をKHzの帯域で測定するための装置のハード面は、完成したが、現在その装置をオンラインで制御するためのソフトを作製中である。
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