1.ゲータイト微粒子の生成 水酸化第一鉄のアルカリ懸濁液の酸素酸化によるゲータイト生成反応において、懸濁した水酸化第一鉄超微粒子から溶解した【Fe^(2+)】錯イオンの酸素酸化は気泡のまわりの液境膜内で完結し、生成した重合第二鉄錯体の加水分解によるゲータイトの生成、析出は主に液本体中で起ることが判明した。酸化反応は【Fe^(II)】に関して零次、酸素に関して一次である。針状のゲータイト微粒子の長軸平均長さは、本実験の条件下では0.18〜0.27μmであり、【Fe^(III)】生成速度(【Fe^(II)】消費速度)が速いほど粒子は細かくなる上、分布も狭くなる。 ゲータイト生成の複合過程の速度論はかなり明らかになったが、反応条件、流動条件および気泡による局所混合と粒子形態の間の間係はまだ定量的に解明されていない。これを62年度の研究テーマとする。 2.チタン酸バリウム微粒子生成の予備実験としてのチタニア微粒子の生成エタノール中のチタンテトラオキシドおよび水の濃度を種々変えて撹拌槽を用いてチタニア粒子を合成した。特にエトキシドが0.10mol/【dm^3】、水が0.30mol/【dm^3】のときには撹拌回転数を220〜340rpmの間で種々変えた。どの回転数の条件でも粒子は球に近いが、粒径は0.2〜0.3μmと0.6〜1.0μmの微粒域(ミクロ粒子)、粗粒域(マクロ粒子)の二元分布となった。高速撹拌ほどマクロ粒子の割合が増加し、真球度も増す。回転数が低いとミクロ粒子が支配的になる。マクロ粒子はミクロ粒子の合体したものと考えられ、粒子生成に流体混合が重要な役割を果している。単分散粒子を得るためには、これの精確な制御が必要である。 チタン酸バリウム微粒子の合体は62年度において行う。チタニア微粒子の合成で得られた知見が利用できるはずであるから、研究は効率よく進められるものと考えている。
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