エマルション燃焼時のミクロ爆発に及ぼす諸因子の影響を明らかにし、その促進を図ることを目的に W/Oエマルションのフラシング条件を実験的に検討した。すなわちエマルションを加熱していくと、エマルション中の水滴が過熱状態になり爆発的にフラッシングを起こす。これまで実験で行なった試料はいずれもW/O型エマルションで、油相にはケロシンと軽油を用いた。乳化剤としてはスパン80を分散相に対して10wt%添加した。分散相分率は5%〜60%の範囲で変化させた。試料(約0.1ml)を内経5mmのガラス管に入れこれをオイルバス中で加熱しながら観察し、フラッシングを起こす温度を測定した。加熱速度は100℃以下では8℃/min、100℃では2℃/minとした。試料を加熱していくと110〜140℃前後でフラッシングを起こすことが観察された。エマルションのフラッシングは一見法則もない様であったが、詳細に観察を続けた結果、ほぼ一定の確率分布に従うことが明らかになった。そこで同じ試料の50%がフラッシングを起こす温度を50%フラッシング温度としてフラッシュ開始温度を代表させると、データの再現性も良いことが明らかになった。 この50%フラッシュ温度は水/ケロシン及び水/軽油エマルションの場合ともに、分散相分率の増加に伴い大幅に低下する。すなわち分散相分率が高い程フラッシングし易い。50%フラッシング温度と分散相の沸点の差を過熱度△Tとすると、△Tはエマルションの単位体積当りの界面積によって相関できた。また作製方法を変えて平均径が1.5、3μmと異なる二種のエマルションの△Tも界面積のみの関数として相関できることが明らかになった。また軽油エマルションの方が△Tが幾分高い傾向があるが、この点に関しては現在検討中である。
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