研究概要 |
1.炭化水素質化性酵母Candida fropicalis pK233は, 炭素源の変換によってペルオキシゾーム(Ps)の発達を容易に制御できる. Pre-existingなPs(G-Ps)の存在するグルコース生育菌および末発達なPs(P-Ps)の存在するプロピオン酸生育菌よりそれぞれきPsを分画単離できる方法を確立した. 酵素免疫化学的手法により, イソクエン酸リアーゼとリンゴ酸シンターゼがこれら両Ps内に高い割合で局在していることが明らかとなり, 本酵素母のPsは元来グリオキシゾーム様のオルガネラとして存在し, 炭化水素を質化した際にペルオキシゾームに発達していくことが判明した. 2.誘導合成および局在化の顕著に現れる酵素として脂肪酸のβ-酸化系を構成するエノイルーCoAヒドラターゼ(ECH)と3-ヒドロキシアシルーCoAデヒドロゲナーゼを精製した. この2つの酵素は105kdからなる同一のペプチド上に存在するbifunctional酵素であることが, 細胞分画で得たPaを含む顆粒画分から各種のプロテアーゼ阻害剤を用いた精製法によって証明できた. 一方, 全菌体よりECHのみの活性をもち, サブユニットの分子量が36kdの酵素を精製した. α-キモトリプシンによる限定分解実験から,このECHのみの活性をもつ酵素はbifunctionalからの消化産物であることが強く示唆され, bifunctional酵素の中に機能的に独立したECH活性部位が存在することが推定でき, 酵母に酸化系の進化を考えるうえで重要な知見を与えた. 3.すでに精製したペルオキシゾーム酵素(カタラーゼ, カルニチンアセチルトランスフェラーゼ, イソクエン酸リアーゼ, リンゴ酸シンターゼ, アシルーCoAオキシダーゼ)に対する抗体を用いる方法により, これらのcdnaを単離した. カタラーゼについては, cDNAをプローブにしてGenomicDNAを単離し, 塩基配列の決定に成功した. この結果, 局在化に関して注目すべきアミン酸配列を見い出した.
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