研究概要 |
異種細胞質を有するカンラン系統を育成するにあた、本年度の研究では、以下のことを明らかにした。 1.カンランを花粉親として得た雑種(【F_1】)とカンランとの戻し交雑は、組合せによって交雑親和性を異にする。既に合成されたBrassica campestris x B.oleruiea(カンラン),B.migra x B.oleracea およびRaphanus sativus x B.oleraceaの複二倍体種にカンランを戻交雑して得た雑種植物(【B_1】【F_1】)を育成し、甫戻交雑の後代を育成した。これらの系統は、大旨それぞれの種子親の細胞質を有するカンランであると考えられ、花粉母細胞の成熟分裂の調査結果から、ほぼ正常な稔実特性を示した。 2.B.napus,B.zuncea,B.cwinata,B.tournefortiiとB.oleracea(カンラン)との種間交雑およびEruca sativa,E.vesicaria,Sinapis alba,S.arvensis,S.turgidaとカンランとの属間交雑を試み、雑種【F_1】の作出を試みた。種間交雑では、Post-zygotic型の交雑不親和性が認められ、胚培養法を用いることで、より効果的に雑種植物が得られた組合せもあった。属間交雑では、Pre-zygotic型とPost-zygotic型の複合的な交雑不親和性が認められ、子房培養法を用いてE.sutiva x B.oleraceaで雑種【F_1】植物を作出した。 3.異質細胞質カンラン系統および育成途上のものについては、今後、生育特性,稔実特性,生理,生態的特性を既存種と比較検討し、育種素材としての評価をしていくことが必要であると思われる。
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