研究概要 |
子肪培養法を用いてBrassica属の野生近縁種から栽培種への遺伝子導入を試みた. 用いたBrassicaは栽培種にB.camPestris subsp chinensisとsubsp Pekinensisの2種, 野生種はB oleaieo に近縁のB bourgeaui とB montanaである. Nitsch andNitsch(1969)の無機塩にショ糖50g/lとカゼイン加水分解物300mg/lを添加した培地にB campestris×B bourgeauiあるいはB campestris×B montanaの交配後4日目の子房を植え込んだ, いずれの組み合せからも多数のF_1雑種が得られた. 雑種形成率(得られた雑種数/莢数×100)の最も高かった組み合わせは, subsp chinensis×B bourgeauiで231.8であり, 最も低かったのは, subsp Pekinensis×B montanaで34.1であり平均120.0であった. 得られたF_1雑種の減数分裂時における染色体対合は両組み合せ共に9II+1Iの頻度が最も高く, 次いで1III+8IIであった. F_1雑種の花粉稔性はいずれの個体においてもほとんどなかった. F_1雑種の交雑検定を行った結果, 放任受粉, F_1×B campestrisとF_1×B napusの組み合せで種子を得た. B campestris×B bourgeauiのF_1雑種の交雑検定で得た種子を播種し, これらの個体に更にB campestrisあるいはB napusを交配すると, 多数の種子を得た. この結果, B bourgeauiとB napusの改良の遺伝子源となり得ると考えた. 子房培養法による種間雑種作出の頻度を上げるため, 培地に添加する糖濃度と子房を培養する時期の検討をB campestris×B oleraceaの組み合せで行った. その結果, 培地に添加する糖濃度においては30g/lのショ糖の場合が最も良い結果で, 次いで50g/lと90g/lであった. 培地に添加する糖濃度が90g/lまで増加するにつれて, 健全な胚の成育が認められた. 子房の培養時期については, 交配後2日目に植え込んだものが最も雑種の得られる割合が高く, 次いで4日目であった. 交配後12日目のものでも, 子房培養後更に胚珠培養を行うと多数の雑種が得られた.
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