1.日長反応性の異なる野生イネおよびインド型栽培イネを日長反応性がない日本型テスター(T65【E^b】m)と交配し、得た【F_2】を長日・短日両区で栽培し、出穂日とアイソザイム遺伝子型を個体ごとに調べた。その結果、 (1)第1連鎖群のアイソザイム遺伝子座の対立遺伝子の頻度は長・短両日長区で著しく異なった。これは長日区で出穂しなかった日長反応性・強の個体がある特定のアイソザイム遺伝子型をもつ傾向があることを示すもので、その原因はこの遺伝子座(Est-2)に連鎖する日長反応性遺伝子座の存在にあると考えられた。 (2)一部の交配組合せから、異なる2つのアイソザイム遺伝子(連鎖群不詳)に連鎖する2つの日長反応性遺伝子の存在が示唆された。 (3)来年度以降、これらアイソザイム遺伝子をマーカーとして、連鎖関係にあると思われる日長反応性遺伝子を抽出する。 2.61年度に新たに開始を予定していた交配、および以前からすすめてきた戻し交雑はほぼ予定どおりに完了した。 一部の交配組合せでは【B_3】世代に達しているので、62年度ではこれらの【F_2】集団(【B_3】【F_2】)を展開して出穂日の分離様式を調査するとともに、異なる交配組合せ集団の日長反応性の個体どおしの交配を行い、それら日長反応性遺伝子の相同性の検定を行う予定である。
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