研究概要 |
第1実験:圃場での労力節減をはかるために、大豆種子を水溶性の紙(トイレットペーパー,テープシーダー)にはり付けたり、包んだりした場合の出芽率を調べた。その結果、ペーパーに包むと、無処理の催芽や直播の種子に比べて、著しい出芽遅延が認められたが、シーダーテープの出芽遅延が僅かで、対照との間にあまり差がないことから、室内で種子をでんぷん糊でテープにはり付けることによって、圃場での一部労力節減がはかられることが推定された。 第2実験:裂皮粒は、外観上の品質として劣悪視されているばかりか、出芽不良を起し易い。しかし、裂皮粒は概して粒の大きなものに発生し易く、かなり良い出芽が得られる可能性がある。実験の結果、大豆の種皮は出芽渦程の地中において、子葉を保護しながら吸水を調節していることが示唆された。特に、裂皮粒では無裂皮粒に比べて吸水が著しく速く、多雨条件下では酸素欠乏におち入り易く、出芽率が低下するが、一度催芽させてしまうと極めて高い出芽率を示すことがわかった。 第3実験:子葉の青い内の移植苗は、鳥害に遭い易く、あわてて網がかけられたりする。そこで、鳥害回避の一手段として、子葉への培土が、移植後の植物の生育に及ぼす影響を調べた。その結果、子葉の乾物重は、培土区では漸次減少し、子葉は7日目以後に腐って消失したが、対照区では22日項に黄変した。子葉の柵状細胞より、培土区では葉緑体や細胞壁などが急激に崩壊し、でんぷん粒の消失もはやかった。 第4実験:圃場実験で、直播・催芽・移植(ベーパー付きと無し、子葉培土)の各区の収量(10a当り)を比較すると、直播が548kg、催芽が456kg、ペーパー付き移植が423kg、無しが510kg、子葉培土が307kgであった。
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