研究概要 |
田植機による水稲の移植栽培では、1株苗数や植付深度の変動が大きく、このことはその後の株間の生育・収量さらには玄米の品質にも影響を及ぼしていることが予想され、最近、指摘されている機械移植水稲の収量停滞の一因となっている可能性がある。本研究では、本学部の附属農場に慣行法で機械移植栽培されている早生(品種:新潟早生)と中生(品種:コガネマサリ)稲について、水田の対角線上にほゞ一定間隔で60株を任意に選定して、生育と収量および収量構成要素の株間変動について検討した。また、上記の対角線に沿ってほゞ等間隔に10ケ所で部分刈り(20株)を行ない、同一水田での場所による収量および玄米の品質の変動性についても検討した。 移植時の1株苗数は、早生,中生ともに1〜15本(平均:早生5.9本,中生6.3本)で変動係数(CV)は約40%を示し、草丈のCVは約10%であった。また、植付深度は13〜51mmで平均34mm、CVは20.2%であった。早生、中生とも移植後、草丈,芝数のCVは低下したが、常に芝数》草丈で推移し、草丈は最高芝数期以降は5%以下で推移した。収量構成要素について株間のCVをみると、早生,中生ともに穂数〉登熱歩合》平均1穂籾数》精籾千粒重の順に大きく、各要素とも早生にくらべて中生でやや小さい傾向がみられた。また、株当りの総籾数のCVは穂数と登熱歩合のほぼ中間に位置し、株当りの精籾収量のCVは穂数にくらべても大きく、早生で25.9%,中生で26.9%であった。部分刈りによる精籾(玄米)収量のCVは早生,中生とも約10%で比較的小さかったが、早生について検討した山土客土用ではやや高くなった。そして、精玄米について粒厚別の重量分布を調査した結果、重量割合の最も高い区分(粒厚)のCVが最も小さく、それより前後するにつれてCVは大きくなった。また、粒厚1.8mm以上の整粒歩合のCVは約2.5%で著しく小さかった。
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