研究概要 |
休眠性程度の異なるKatoktara,Hadsaduri,Kumariの3品種の完熟種子を供試した。 1.収穫種子を室温条件下に貯蔵し、種子を3段階の酸素分圧(100,200%)条件下に置床し、置床中の酸素濃度が休眠解除に及ぼす影響について検討した。 酸素分圧は、休眠解除にきわめて顕著な影響を及ぼし、休眠解除に対する促進および抑制の程度は、種子の休眠程度の深浅に対応して変化した。 2.休眠種子に人為的な休眠打破処理を施し、処理種子を3段階の酸素分圧条件下に置床し、処理効果に対する酸素の影響について検討した。 休眠解除の程度は、置床中の酸素分圧条件によって著しい影響をうけ、高酸素分圧は促進的に、低酸素分圧は抑制的に作用した。 3.2段階の酸素分圧(100,0%)条件下で吸水種子に休眠打破処理を施し、処理種子に内生するABAの活性の比較を行い、休眠打破処理と酸素分圧条件がABAの活性変化に及ぼす影響について生物的検定法によって検討した。高酸素分圧下で処理された種子のABA活性は著しく低下するのに反して無酸素条件下ではほとんど変化しないことが明らかとなった。この結果は、前記の1及び2で休眠解除が高酸素分圧で促進され、低酸素分圧で抑制された現象を種子内生のABAの不活性化の面から説明しうることを示すものであった。 4.上記の休眠解除現象と酸素との関係に対する種子内生のABAの不活性化機作の関与についての解析は、現在化学的手法による分析を実施中で、いまだ結果を得るに至っていない。
|