研究概要 |
ハルジオンのパラコート抵抗性機構について検討し, 以下の結果を得た. 1.光合成速度, 蒸散量 自然条件下では抵抗性種と感受性種(以下抵抗性種:R,感受性種:Sと呼ぶ)に差異は認められなかった. 遮光条件下での光合成速度は, 遮光すると一般に光合成速度は低下するが, その低下率はS種の方が大きかった. 2.パラコートの吸収移行 葉柄からC_<14>パラコートを吸収させた場合通導組織をとおして吸収されるが, その大部分は導管内にとどまり, 他の組織に移動しなかった. 葉面から吸収させた場合S種は処理後6時間で, 葉面から導管部へ移行するがR種は植物体内への移行が少なく, 体内への拡散は少なかった. 3.個体内の抵抗性変異 ハルジオンのロゼット状態の葉を分解し, 一葉ごとにパラコート抵抗性の変異を調べた結果, 若い葉の葉身基部ではR種でも抵抗性に変異を認めた. 4.タンパクおよびアイソザイムの変化 タンパクを電気泳動法によって調べた結果R, S間に基本的に差が認められなかった. パラコート処理後のタンパクはR, S間に差が認められ, 主としてFlaction 1 proteinに対し影響を与えていた. パーオキシターゼアイソザイムはR, S間にバンドの違いがみられた. 特にS種では, パラコート処理後時間の経過とともに, バンドの出現位置や濃度に著しい変化が認められた. 以上の結果, パラコートのハルジオン抵抗性機構は, 一次的には表皮細胞のパラコートに対する強弱であるがこの原因は還元酵素の違いによる可能性が示唆された. パラコート処理後のタンパクの変異は, パラコートによるハルジオンのストレスの結果であり, 二次的な現象と考えられた.
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