1.ギョウジャニンニクの種子発芽(1)種子の発芽適温。種子の発芽は17°Cと21°Cで他の温度より良好であったが、17°Cと21°Cとの間には発芽率、発芽速度(初期発芽)、光感性で著しい差異がみられた。すなわち、17°Cでは発芽率が21°C(ほとんど100%)に比べるとかなり低かったが、発芽速度が21°Cより速かった。また、21°Cでは光りの有無は発芽にほとんど影響しなかったが、17°Cでは著しい暗発芽性を示した。種子の実用的な発芽適温は系統間で若干差異がみられ、山形県に自生していた系統'山形'では発芽速度と発芽率とを総合的に考慮した場合、発芽適温は21°Cとみなされたが、北海道に自生していた系統'北海道'ではそれが17°Cとみなされた。 (2)種子の休眠期間。個体変異が著しく大きいが、約50%の種子は自然開莢後約1ケ月で休眠が覚醒するようである。 (3)採種後の種子の保存方法。少なくとも5ケ月以内の貯蔵の場合は、中温や涼温の恒温貯蔵より室温貯蔵のほうが発芽速度や発芽率の点で優れていた。種子を6ケ月以上貯蔵する場合は低温・多湿貯蔵が発芽速度、発芽率の低下抑制に効果があった。 (4)種子の発芽促進法。ジベレリン処理は発芽を著しく促進させた。高温処理も発芽促進に効果があり、毎日あるいは1日おきの変温処理として与えても、前処理として先に一括して与えても効果があった。2.オオナルコユリの種子発芽。 採種後の種子は深い休眠状態にあり、この休眠は種子が約13°C以下の温度を経過しないと、260日以上経過しても打破されなかった。種子の低温経過後の発芽適温は13-21°Cであった。 3.アサツキの生長力の季節的変動と休眠 アサツキの葉と根の生長力は夏期休眠期を除く全生育期を通じて月単位でかなり大きく変動した。晩秋〜初冬期に生長力が1ケ月強の期間著しく低下したが、この生長力の低下は自発休眠によるものとみなされた。
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