研究概要 |
適度の整枝せん定は、光合成産物の果実への分配率が増加向上する理由として、材の形成が抑制される結果と推定されている。「新水は早生にもかかわらず、樹勢が強いとか、木が大きく生長する」とされながら収量の低い原因が、花芽の着生の不安定さなどが一般的な欠点と呼称されていた。しかし、他方では着果数の少ない割に大果とならず小果となりやすい欠点がある。対照的に豊水は、花芽形成も良いが大果となりやすい傾向をもっている。以上のごとき品種間差は、せん定の生むに類似した面を有している。すなわち県毎に一樹当りの収量(Yと略称)と材積(V)の関係を作図すると、つねに新水が他の2品種よりも材積が多い傾向を示した。さらにY/Vとして品種比較をすると11県平均で新水(材積1,000cc当たり0.60Kg)、幸水(1.01)、豊水(1.38)となり、新水が有意に他品種よりも低かった。これらの実態を究明するために47都道府県の果樹関連試験場長宛てに品種の果実生産力に関するアンケート調査(43の回答有り)を実施し、新水の果実生産量期待値(32ton/ha)に対して現実には20.7tonであり、少収量とされた、ちなみに品種を指定しない場合は48.2、幸水(40.6)、豊水(50.6)、二十世紀(51.3)となっていた。 材積に関連した方法として、主幹の断面積(AT)当りの果実収量(Kg/cm)を収量効率(Yield efficiency)と呼称したWestwood(1978)があるが、これは加齢とともに増加する状況に充分な対応が成されていない傾向がある。本研究の結果により、木全体のうちどの程度が果実へ分配されるかとの視点より、精度の面から果実生産係数(Y/V+Yx100)と、簡便さの点から果実収量指数(Y/AT+Yx100)として、それぞれを%表示することで、品種や栽培における果実生産性を評価できる方法であるとの結論をえた。
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