クロマツを中心にして海浜地域ことに沿岸埋立地と自然海岸林地でマツクイムシ被害により自然マツの消失した林地を対象にマツ及び緑化樹苗の植栽と播種による緑被の復元を目途として調査研究を行ない次の結果を得た。 まず、林地土壌の三相組成が調査年(S.61年)の降水総量が750mmの場合にも自然林地でかつ無植生では林地々表部が急激に土壌組成が悪化すること、まだ何らかの植生が存在するこで殆んど土壌組成の悪化は見られず、また人工的に地表を敷草敷藁等でカバーすることが極めて効果的であった。 また、林木種子の播種による緑化方策のうち稚苗の消長がごく部分的な土壌改良でより発芽後の生長に効果的であることも判明した。ただ、この場合においても発芽直後の鳥類による被害が極めて大であり、かつ短時間に被害が発生することも今回の調査で判った。一方苗木植栽による緑化と植生の復元について、調査は埋立地及び自然海浜の両地区で実施し、植栽後の活着と枯損ならびに植栽木の生長パターンを定期的に追究した。その結果植栽地土壌の改良と極めて密接な関係にあることが判った。即ち、現地土壌表層部に対し、極く少量のマサ土と有機質肥料の混入が、植栽木の活着率の向上と生長量の増大に効果的であることも明らかになった。当該地域に於ける異常気象環境条件下に於いて、特に7月〜8月の無降雨と異常高温乾燥下では春季一整に発芽した幼苗及び春季の苗木植栽木は容易に枯死消滅すること、また当年の冬季寒風乾燥によっても簡単に幼苗ことに発芽当年苗の枯死が見られることが判った。また、この雨季節とも林地土壌中の有効水は植物の生育可能限界をはるかに越えた状態となり、幼苗等は簡単に枯死する環境となる。また、自然海浜林地土壌では、土壌三相組成が全般的に気相が大きく、液相が極端に小さいこと、さらに、土壌透水係数が異常乾燥により不透水層が生じ、極めて、透水性が悪化した状態であることも判った。
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