研究概要 |
第1年次に沿海埋立地に植栽した供試樹のうちクロマツ, トベラ, シヤリンバイ, タブノキを対象にその生育パターンとその消長について今年度も調査した. その結果, クロマツでは植栽地の土壌改良を実施した調査区即ち, マサ土を10cm及び15cm厚の客土を実施したところに植栽した供試個体で, それぞれ平均で45%と80%の活着率を示すことが明らかになった. また, マサ土の客土時に高分子吸湿剤をm^2当り5gを混入することで植栽木の活着率が平均で客土10cm厚の植栽区で80%以上, 15cm厚の植栽区で95%以上を示すことが明らかになった. また, 埋立地土壌に直接植栽した調査区では夏季の高温乾燥で100%枯死に至ること, 常緑広葉樹のトベラ, シヤリンバイ, タブノキについてもほゞ同様な土壌環境即ちマサ土の客土と高分子吸湿剤の最低m^2当り5g以上の混入でそれぞれ活着率を高めることの可能性と植栽後の生育(上長成長)に好結果が得られることが明らかになった. 一方沿海自然林地及び海浜林地の人工緑化を推進する場合に林地の堀りおこしとともに高分子吸湿剤の混入が苗木植栽区, 播種造林ともに極めて好結果が得られることが判った. 即ち沿海林地の無立木地緑化にあたっては林面堀りおこし及びマサ土の客土のみにても効果的ではあるが, より効果的に緑化を進めるためには高分子吸湿剤の利用で好結果が得られ, 植栽当年はもちろん次年時における枯損防止と生長増進に効果的であった. 播種造林上の問題点であった発芽直後の鳥害防止については極く簡単な防鳥装置で完全に防止ができること, また冬季の異常乾燥については高分子吸湿剤の土壌混入で十分解決できることが明らかとなった. 次年度以後においては高分子吸湿剤のPHと土壌PHの関係を, さらに沿海埋立地の土壌改良手法と土壌三相組成を中心とした土壌環境圧を明らかにする. また, 供試植栽樹については, 今後も生成パターンを引き続き調査する.
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