沿海埋立地に植栽した供試樹のうちクロマツ並椅びに自然林地を対象としたそれぞれの生育パタ-ンとその消長について、3年間並びに1年の延長の許可を得て調査した。その結果、クロマツでは植栽地の土壌改良を実施した区即ち、マサ土を10cm〜15cm厚の客土のところに植栽した供試木では、それぞれ平均52%と87%の活着率を示した。また、マサ土の客土時に高分子吸湿剤をm^2当り30〜80g混入すること、客土10cm厚区で80%以上、15cm厚区で95%以上の活着率を示すことも明らかになった。また、埋立地土壌に直接植栽した区では夏季の高温乾燥で100%の枯死に至ること、また自然林地に植栽した常緑広葉樹のトベラ、シャリンバイ、タブノキについてもほぼ同様で、土壌環境即き、マサ土の客土と高分子吸湿剤の最低m^2当り30g以上の混入で、それぞれ活着外を高めることと、植栽後の生育(上長成長)に好結果が得られることも明らかになった。一方、沿海自然林地及び海浜林地の人工緑化を推進する場合には、林地の堀りおこしとともに高分子吸湿装の混入が苗木植栽区、播種区ともに極めて好結果が得られることも判った。即ち、沿海林地の緑化にあたっては林面堀りおこし及びマサ土の客土のみでも効果的ではあるが、より効果的に緑化を進めるためには、高分子吸湿剤の利用で好結果が得られた。植栽当年はもちろん、それ以後においても枯損防止と成長増進に効果的であった。また、播種造林上の問題点であった発芽直太の鳥害防止についても極く簡単な処置で完全被害防止ができること、また、冬季の異常乾燥についても高分子吸湿装の混入で十分解決できることが明らかになった。一方、高分子吸湿装のPHと土壌PHの関係をさらに沿海埋立地の簡易な土壌改良手法と土壌三相組成を中心とした土壌環境圧との関係が明らかになり、供試植栽樹並びに播種造林については、今後も成長パタ-ンを引き続き観察計互することとしている。
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