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1986 年度 実績報告書

カンキツ果実の砂じょうの成長と糖成分の転流・蓄積機構

研究課題

研究課題/領域番号 61560042
研究機関名城大学

研究代表者

新居 直祐  名城大, 農学部, 助教授 (30103261)

キーワード砂じょうの肥大成長 / 砂じょうの微細構造 / 非維管束組織の転流機構 / 糖の蓄積
研究概要

ウンシュウミカン果実の砂じょうの発達過程を光学顕微鏡並びに透過型電子顕微鏡観察によって解剖学的に調べ、溶質の転流機構を中心に検討した。砂じょうは開花直前に心室内壁より突起した。砂じょう突起において、内果皮の表皮細胞では主として垂層分裂がみられ、下表皮層では垂層分裂や並層分裂がみられた。満開期には内体的多方向への分裂が盛んにみられ、細胞増加が著しく、砂じょう突起は拡大した。砂じょうは初期では円筒状であり、子室内に砂じょうが充満する6月中旬以降、次第に先端部の細胞分裂と肥大により太くなり始め、砂じょうの長さが約0.7mmに達した段階で、砂じょうの袋状の部分と柄の分化が認められるようになった。砂じょうの成長曲線にみられる6月中旬以降の肥大は、大部分の細胞がこの時期に急速に拡大することによるものである。砂じょうが伸長するにつれて、柄の表皮細胞で柄の軸方向への細胞分裂がみられ、その後著しく伸長した。7月上旬より細胞は横にも拡大し、細胞容積拡大期に入るものとみなされた。砂じょうがほぼ最大の長さに達したころに、砂じょう中への可溶性固形物含量の蓄積が開始した。とくにショ糖の増加が著しかった。11月中旬の成熟果の砂じょう頭部の断面をみると、外側は2〜3層の小さい細胞がみられ、内側には250×150μηにも達する大きな柔細胞がみられた。砂じょう柄中には維管束や仮導管組織はみられなかったが、砂じょう柄の柔組織細胞の薄い細胞壁には数多くの原形質連絡が認められた。以上の結果より、砂じょう中への溶質の移行には砂じょう柄中の柔細胞や原形質連絡が関与した転流経路が存在するものと推察された。
なお、糖成分の蓄積に関係する液胞等の微細構造の観察は、固定,脱水,包埋の一連の過程で技術的な問題があり、十分な検討ができなかった。次年度に再度試みる予定である。

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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