研究概要 |
北海道で分離されたpolymyx-a bataeの菌伝播性Beet necrotic yellow vein virus(BNYVV)の理化学的性状と本ウィルスを構成する2-4種類のRNAの生物学的機能について検討した. 各ウィルス系統のツルナ(T.expansa)での反応についてみると, S2は小黄色斑, S3は黄色斑, S4は強退緑斑, S5は弱退緑斑, T6は輪点を形成した. c.amaranticolor上ではS2, S3は強退緑斑S4, T6は退緑斑, S5は弱退緑斑をそれぞれ形成した. S2, S3, S4, S5, T6のウィルス粒子はそれぞれ幅20nmの棒状粒子であった. ウィルス外被蛋白質の分子量は, S2, S3, S4, S5, T6の全てで約20kdで特に違いは認められなかった. ウィルスを構成するRNA成分はS2:RNA1, 2, 3, 4, S3:RNA1, 2, 3, S4:RNA1, 2, 4, S5:RNA1, 2, T6:RNA1, 2, であった. ここでRNA1, 2, 3, 4, はそれぞれ6600, 4700, 1890, 1540, 塩基数に相当する大きさを持っていた. これらの大きさはフランスの分離株F2のRNA1, 2, 3, 4, にほぼ相当すると考えらた. RNA接種試験の結果, 3-4成分のRNAを持つ分離株(S2, S3)においてもRNA1, 2のみでウィルス粒子を形成して増殖することが可能であった. このことから本ウィルスのゲノム数は2であることが強く示唆された. さらにRNA3の接種試験の結果, これは粒子としての自己増殖能をもたず, RNA1, 2との組合せでのみ病斑を黄色化し, これらのRNAとともに増殖できた. このことからRNA3はRNA1, 2をヘルパーとするsatellite RNA様の性状を持つことが示唆された.
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