研究概要 |
これまでに得られた研究の成果は以下のとおりである。 1.モモノゴマダラノメイガ雌成虫に対して産卵誘引活性物質を産生する糸状菌として、リンゴあるいはモチからPenicillium sp.Aspergillus fumigatus,Cladosporium sp.,Mucor sp.を分離同定した。 2.Czapek培地上でのこれら糸状菌の活性の強さはPenicillium sp.≒Clado-sporium sp.>Aspergillus fumigatus》Mucor sp.の順であった。 3.異なる糖成分を含む培地上で各菌を培養し、菌の基質特異性と活性発現の関係を調べたところ、Mucor sp.を除く3種の菌は培地中の単糖類と二糖糖のいずれも活性物質へ代謝するが、Mucor sp.は単糖類を代謝できるが、二糖類は代謝できなかった。 4.植物病原性糸状菌のなかにも上述の4種と同様の産卵誘引活性物質を生産する種類が発見され、Alternaria solaniとEndothia parasiticaは強い活性を示した。 5.Penicillium sp.を培養したCzapek培地を誘引源とする野外網室試験でも、室内試験と同様に強い誘引活性が確認され、同誘引物質を野外でモモノゴマダラノメイガ成虫の誘殺に利用できる可能性が明らかになった。 6.活性物質産生菌を培養した培地から得た揮発性物質をガスクロマトグラフィーで分析した結果、活性成分と思われる数種の成分を検出した。 7.活性成分は菌の液体培養系でも十分に産出され、同法により活性成分を大量に得られると判明した。
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