研究概要 |
1.イネごま葉枯病菌をイネ科イネ亜科植物以外のタイヌビエ,アワ,エノコログサなどから分離した。また、トウモロコシごま葉枯病菌をチガヤ,チヂミザサ,モロコシ,ジュズダマ,ハトムギ,アワなどから分離した。これらの植物が、野外において、それぞれ宿主となっていることが確認された。 2.従来、両ごま葉枯病菌の病原性には、オフィオボリンが関与するとされてきた。しかし、オフィオボリン水溶液を、イネ及びトウモロコシの葉に点滴接種したが、10ppm以下の濃度では、病斑〜病斑類似の反応は認められなかった。 3.トウモロコシごま葉枯病菌の突然変異株の作出条件を明らかにするため、分生子をニトロソグアニジン,メタンスルホン酸エチル,γ-線などの変異源で処理した。色素合成欠損株の出現率でみると、ニトロソグアニジンの場合、分生子生存率5%前後で最も高かった。また、γ-線の場合300KR以上の照射が必要であった。現在のところ、オフィオボリン産生に関する変異株、病源性に関する変異株は得ていない。しかし、ジヒドロキシナフタレン系のメラニン合成系の変異株が多数得られた。このうちには、サイタロン蓄積変異株,トリシクラゾールなどのメラニン合成阻害剤の作用点における変異株などが含まれている。現在、その遺伝子解析を行っている。
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