研究概要 |
北日本でカエデの葉裏に寄生・加害するハダニの2種を新種として記載した. ヒメカエデハダニEotetranychus spectabilis EharaとオオカエデハダニE.dissectus Eharaがこれで, 両種とも北海道と青森県から知られる赤色種である. Eotetranychus属の日本産既知13種の夏型雌は, スミスハダニE.smithi Pritchard et Baker(赤色)を除き, 淡黄〜淡黄緑色であるから, この2新種は色彩の点で少数派に属する. ヒメカエデハダニの雌:体長385μm, 皮膚条線は内仙毛の後方て逆V字状に走る. 生殖口蓋は横走する条線をもち, 生殖口蓋のすぐ前の領域は縦走する条線を有する. 触肢の端感覚体(出糸突起)は, 長さが幅の2倍に満たない. 第1脚〓節は二重毛の後方に5通常毛と1ソレニジオンを有し, 同脚脛節は9通常毛と1ソレニジオンをもつ. 第2脚〓節は二重毛の後方に3通常毛と1ソレニジオンをそなえ, 同脚脛節は8通常毛をもつ. ヒメカエデハダニの雄:体長330μm, 交尾器は後方でほぼ直角に下向している. 第1脚〓節は二重毛の後方に4通常毛と3ソレニジオンをもち, 同脚脛節は9通常毛と4ソレニジオンを有する. 第2脚〓節は二重毛の後方に3通常毛と1ソレニジオンをもち, 同脚脛節は8通常毛を付属する. オオカエデハダニは, ヒメカエデハダニよりもはるかに大形で, 体長は雌520μm, 雄430μm. 雄:後体部の背正中域の皮膚条線は, すべて横走する. 生殖口蓋は, 前部に縦条, 後部に横条をもち, 生殖口蓋のすぐ前の領域は縦条を有する. 触肢の端感覚体は長さと幅がほぼ同様である. 雄:交尾器は後方に向かい次第に細くなるが, 曲がることなく直走する. 第1・2脚の爪間体は4裂している. なお, 雌雄とも脚の毛の配列は, ヒメカエデハダニとほぼ同じである.
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