研究課題/領域番号 |
61560060
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
佐々木 正己 玉川大, 農学部, 助教授 (40096061)
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研究分担者 |
水野 真 玉川大学, 工学部, 講師 (80157510)
菅野 直敏 玉川大学, 工学部, 講師 (30129952)
塚田 稔 玉川大学, 工学部, 教授 (80074392)
松香 光夫 玉川大学, 農学部, 教授 (30074339)
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キーワード | ウリキンウワバ / 生物時計 / 脳光受容 / 神経分泌細胞 / サーカディアンリズム / 光周性、位相制御モデル / 神経モデル |
研究概要 |
標記について生理実験とモデル構築の両面から検討し、以下の成果を得た。 1.生理実験:(1)ウリキンウワバ(鱗翅目:ヤガ科)のコーリングリズムの光による駆動にかかわる脳内の光受容部位を特定するため、種々エネルギー ベルの単波長光を光ファイバーにより脳表面各所に局所照射した。その結果、脳間部神経分泌細胞群を含む径約100μm以内の範囲が受容部位と判明し、電気生理学的解析の基礎を与えた。同程度の強度の光を複眼に照射しても時計の駆動効果は認められなかった。(2)脳内の光受容色素を知る一助として、カロチノイド・フリーの人工飼料を作成し、2世代の累代飼育を行った。その結果、3ヒドロキシンレチナールのレベルは10%程度まで下ったのに、ERG(網膜電図)反応は落ちず、時計の光への同調反応にも変化がないようであった。(3)脳内の光受容構造の知見は未だ不十分で、連続切片の渡銀染色、電子顕微鏡観察を始めたところである。 2.モデルの検討:(1)種々日長条件へのコーリング時刻の調節反応を、日長の読み取りと、それに基くサーカディアン・オッシレーターの位相制御モデルにまとめ、コンピュータによる定量化を試みた。明期に合成、暗期に分解する仮想物質Sの動態を仮定、その消灯時の量がオッシレーターの発振時の位相を制御し、行動はオッシレーターの特定の位相時に触発されるとした。今後、Sの合成・分解速度を調節する何らかの項目を付加することで、さらに良いモデルになる可能性が高い。(2)上記に比べ、より原理的で、可塑性に富み、さらに計算機シミュレーションを前提としたモデルの構築をも試みた。これは、興奮性および抑制性の2つの神経素子間の種々の相互加重様式と自己結合を想定し、リミットサイクルの考え方を応用したもので、設定する条件次第で、振動の発生の有無や周波数特性の変化などを与えられることがわかった。
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