研究課題/領域番号 |
61560074
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 久雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (00026410)
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研究分担者 |
桜井 克年 京都大学, 農学部, 助手 (90192088)
荒木 茂 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (00158734)
福井 捷朗 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584)
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キーワード | 赤黄色土 / 岩質・風化度区分 / 粘土鉱物 / ポドソル化作用 |
研究概要 |
全国的な分布が知られている赤黄色土を岩質、風化度といった共通の基準で比較をおこない、その生成的特徴を明確にするという目的で本研究をおこなってきたが、本年度は過去2年間における成果のとりまとめと、3年目にもち越された補足実験をおこなった。全体的なとりまとめの過程で明らかになったことは、北海道から沖繩まで分布する赤黄色土の黄色B層はきわめて類似した性質を示し、風化度が高く中性岩的な岩質で、かつクロライト化バーミキュライトを主たる粘土鉱物としている。この事実は地域を問わず、赤黄色土を一つの土壌分類単位とみなすことの妥協性を示している。しかしながら赤黄色土の中にはマフィックな岩質で風化度が低いものが含まれ、これらは結晶度の低いカオリン鉱物からなる。従来、塩基性岩を母材とする赤色味の強い土壌は暗赤色土と分類されてきたが、黄色を示すものの中にも同様な性質を示すものがあることが明らかにされた。次に腐植を含む表層土は粘土鉱物がクロライト化バーミキュライトからバーミキュライト、スメクタイトに変化していることが地域の如何を問わず多くの土壌で認められた。これは表層から供給される有機物のキレート化作用によって粘土鉱物からAlが溶脱をうけた結果であり、従来からポドソル化作用といわれてきたものである。以上の事実は亜寒帯から亜熱帯を通じて赤黄色土の様な腐植の分解しにくい乾性土壌においては、有機逢の生成とAlの溶脱が広くおこっていることを示すものであり、同時にポドソル化作用の強さの程度によって日本の土壌生成作用を証明できる可能性を示すものである。沖繩のフェイチシャ(表層グライ灰白化赤黄色土)ではAlの溶脱が黄色B層にまで及んでおり、他の赤黄色土と区別された。以上の様に赤黄色土は(I)クロライト化バーミキュライト主体、(II)バーミキュライト、スメクタイト主体、(III)結晶度の低いカオリン鉱物主体の3種に区別された。
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