現地圃場2ケ所(砂壌土、植壌土)に生育するコシヒカリ、3.3【m^2】当たり60株植え、について、追肥として15N標識硫安を施した場合の、深耕、深水栽培条件の特徴を生育、窒素含有率等から比較調査した。 養分吸収、N移行状況については分析等継続中であるので、生育観察から得られた特徴を述べる。 株当たり窒素成分で200mg追肥(7月中旬)の場合、砂壌土において深耕区(深水)では対照に比べて草丈、止葉節位までの長さはいずれも高かった。更に葉は止葉を含め4葉とも、茎が大、中、小の区別なく対照より長かった。これらの形質を反映して穂長は同じように対照より長くなった。 植壌土においては出穂後の状況で比べるとたん水区の方は止葉節位が対照より低く、全長に対する止葉節位までの高さが分る割合も小さくなり、倒伏しにくい形質を現わした。(この点については砂壌土の結果とやや異なっており、土質の違いが元肥など窒素の肥効に影響していることが考えられる。)また止葉やその下位葉の長さはたん水区の方が対照より長く、砂壌土の場合と同じ傾向であった。 出穂後の葉乾物重(1葉当たり)を平均的な生育を示す株について、大きい茎、中、小に3分して比較したところ砂壌土では深耕(深水)の場合大、中、小の各葉とも対照より乾物重が小さく、葉の小さいことが分かった。一方植壌土では、大、中、小のうちたん水区の中葉部分が対照より著しく大きかった。また、全般に深いたん水区では茎の形状(草丈、太さ)が相対的に対照より揃っているように観察された。
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