研究概要 |
タバコ光独立栄養培養細胞を用い、3種類の光合成阻害型,2種類の光関与型の除草剤を含む12種類の異なる作用機作をもつ除草剤の作用を検討しあわせて従属栄養細胞,光mixotrophic細胞,タバコ実生との感受性の差を検討した。培養細胞のうち光独立栄養細胞が最も光合成阻害型除草剤に対する感受性が高く、次いで光mixotrophic,従属栄養細胞の順であり、栄養状態の差が光合成阻害剤の作用性に大きく影響していることがあきらかとなった。従属栄養細胞と光独立栄養細胞の感受性の差は1000-10000倍に達した。また植物体(実生)との比較より、光独立営養細胞の感受性は植物体の結果とよく一致することが明かとなった。これらの結果より、光合成阻害型除草剤抵抗性株確立のためには、光独立栄養細胞が最も適切な材料であることが判明した。光関与型除草剤の場合にも感受性の差は小さくなるものの光合成阻害型除草剤とほぼ同様の傾向が認められた。一方、Glyphosateや2,4-D等光非関与型の除草剤の場合、栄養状態の差による作用の差は小さかった。しかし、塩素酸ナトリウムを除いて、何れの除草剤でも光独立栄養細胞が最も除草剤感受性が高かった。 以上、例外的な反応はあるものの光独立栄養細胞は植物体(実生)の反応をよく反映しており、化合物の除草剤活性を検索するよい系であり、また除草剤抵抗性株確立のためのよい系でもあると考えられた。 実際に光独立栄養細胞を用い、光合成阻害剤であるアトラジン抵抗性の葉緑体を持つ変異株の選抜を試みているが、現在のところ光独立栄養条件で生育できる抵抗性の株は得られていない。62年度は引き続き光合成阻害型除草剤抵抗性株の選抜,葉緑体変異条件の検討を行うとともに、すでに植物体において抵抗性株の得られているアオビユをモデル植物とし、選抜条件の検討を行う。
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