研究課題/領域番号 |
61560102
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
柳田 晃良 佐賀大, 農学部, 助手 (00093980)
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研究分担者 |
山本 匡介 佐賀医大, 内科, 講師 (00117285)
榎本 則行 佐賀大学, 農学部, 教授 (20039308)
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キーワード | 生体膜リン脂質 / リン脂質非対称分布 / ペルオキシゾーム誘導剤 / CTP:ホスホコリンシチジリルトランスフェラーゼ / リン脂質合成律速酵素 |
研究概要 |
本研究は生体膜リン脂質の非対称分布とその代謝を調節する要因を知ることを目的とする。生体膜リン脂質の代謝変動を誘起させるため、フタル酸エステル及びクロフィブレートをラットに与えた。その結果、薬物投与は肝全体及び小胞体膜レベルでリン脂質の増加と質的変動を誘起した。リン脂質の脂肪酸分布すなわち分子種レベルの特徴的変動も認められた。 そこで、これらのリン脂質の増加が生合成の亢進によるものかどうかを、リン脂質合成酵素活性の測定から検討した。その結果、薬物の投与は、リン脂質の律速酵素である、ミクロソームの外層に局在するCTP:ホスホコリンシチジリルトランスフェラーゼおよびグリセロール3リン酸アシルトランスフェラーゼ活性を短時間で、しかも同時に誘導することが見いだされ、生合成の亢進によることが証明された。[【^3H】]グリセロールおよび[【^(14)C】]酢酸からの脂質への取り込みの結果もこれを支持した。本酵素のin vivoでの誘導は初めての報告である。 リン脂質の変動が小胞体膜脂質二重層のいずれの層で起こっているかを、ホスホリパーゼCおよびアミノ基修飾剤TNBSをプローブとして用いて調べた結果、いずれの群でも、レシチンの約70%は外層に分布し、ホスファチジルエタノールアミンは内層(65%)に多く分布するアシメトリック(非対称的)な分布に変動はなかった。 以上の結果から、リン脂質合成酵素の増加とリン脂質極性基組成の変動との間には相関は見いだせなかった。今後、リン脂質代謝変動および分子種変動と酵素活性の変動,修飾との関連で検討することが必要であろう。
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