研究概要 |
61年度の研究計画はほぼ達成された。以下に記載する結果に基づき、62年度は毒素生産の遺伝的検討を行う予定である。 1.平板培養法の確立 アガロースあるいはLow gel temperatureアガロースを低濃度(0.4〜0.5%)に加えた固型培地に、混釈法あるいは平板塗沫法によりMicrocystisを接種し、シャーレをクリーンベンチで乾燥後、反転し30℃,2000luxの条件で培養することにより、旺盛なコロニー形成が認められた。 2.霞ケ浦からのMicrocystis属藍藻の分離と純化 霞ケ浦より採取したアオコを浮上法により滅菌水で洗浄後、タッチミキサーで強く撹拌しながら希釈し、アガロース培地に混釈した。形成したコロニーを液体培地に、次いでアガロース培地へと接種を繰り返す。1回のこの操作で単藻化し、1〜数回の操作で無菌株が分離された。21株の毒性をしらべたところ、1株(K-139)の毒性株が分離された。 3.毒素生産条件の検討とその毒性 K-139株は、対数増殖期初期に強い毒性(【LD_(50)】,7.34mg/kg-体重マウス)を示し、対数期後期では毒性は低下した(【LD_(50)】,約30mg/kg)。この毒性は22℃および30℃の培養で差は認められなかった。死亡したマウスを病理学的に検討したところ、肝臓にのみ病変が認められ、本毒素は肝臓毒と判断された。 4.Curing処理 予備的な実験によりK-139株にプラスミドの存在の可能性が示された。そこでエチジウムブロミド(0.1〜1mg/ml)およびノボビオシン(1〜100μg/ml)処理によるCuring条件を検討し、現在処理株のプラスミドと毒性について検討中であり、本実験は次年度に継続される。
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