研究概要 |
1.Pseudomonas putidaの固定化菌体を用いるクロス不均化反応。菌体の固定化はウレタンプレポリマー法およびポリアクリルアミド法などの包摂法を適用し、固定化法の良否はホルムアルデヒド不均化活性で判定した。菌体を固定化しないものにくらべ、反応速度は2/3程度に減ずるが、両固定化法ともに活性は1ケ月間安定に保持された。また菌体反応と同様にホルムアルデヒドと各種アルデヒド間でクロス不均化反応がほゞ理論収率で起ったが、アクロレインの場合には、マトリックスからの菌体の漏出が認められた。 2.電解酸化によるアルコールからアルデヒドの生成。結晶状に精製したホルムアルデヒドジスムターゼをグラスカーボン電極に付着固定化し、酵素中に含まれる補酵素NADHを電気化学的に酸化再生してアルコールの酸化を行った。サイクリックボルタモグラフィーでは、NADHの酸化に相当する600mVでの電流値の増加を伴う特徴的な波形を描いた。また0.3Mブタノールを基質とし、900mV,1時間の通電で30mMのブチルアルデヒドが生成した。これらのことによって、不均化反応がNAD(H)の酸化還元によることが証明できた。 3.NAD結合型脱水素酵素の調製。乳酸,ギ酸,グルコース各脱水素酵素に【N^6】-〔N-(6-aminohexyl)carbamoyl methyl〕NADを結合させ、これと第2のNAD関与脱水素酵素との間で、NADを外部から添加せずに、2種の酸化還元反応を同時に行うことができた。NAD結合ギ酸脱水素酵素では、遊離の酵素にくらべて比活性が約20%上昇した。NAD結合量はサブユニットあたり0.2モルであった。この修飾酵素は乳酸,アラニン,リンゴ酸,ロイシン脱水素酵素と共役した。すなわち、ギ酸の酸化に伴って生ずる酵素と結合したまゝのNADHが第2の酵素の還元反応に利用されるものである。2-オキソイソカプロン酸を還元するロイシン脱水素酵素とのカップリングによって、10時間で50mMのロイシンが定量的に生成した。
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