研究概要 |
フラビンを含む酸化酵素のうち、PQQを含むことを証明するのが比較的容易であると考えられる酵素は、フラビンが非共有結合している酵素の方が実験しやすいことが明らかになった。そこでPQQの存在を示すのに好適な材料として牛乳中のキサンチン酸Cl酵素の単離,精製を行い、実験を行う上で必要な酵素量を確保するためにかなりの時間を費やした。次いで、共有結合しているPQQを酵素から切り出すための手段として、種々な方法について検討した結果、プロテアーゼの種類をくみ合せる(例えば、プロナーゼとトリプシン)方法が最もよい結果を与えた。従来の塩酸加水分解→中和→イオン交換クロマトグラフィーによる方法では、操作中にPQQの活性部位で付加物を形成することから、よい方法でないことも併せて指摘した。PQQを含むクロモフォアの単離,精製法は、イオン交換法が良い方法であるが、最終的に脱塩をしなければならないので、ゲル炉過をくり返えす方法の方が、効率よくクロモフォアを入手できることが明らかになった。このような基礎的な実験条件が大体整備されたので、酵母ウリカーゼを用いてこれらの単離方法の当否を検討するために実験を行ったところ、酵母ウリカーゼからPQQを含むクロモフォアが切り出されることを初めて示すことができた。従来、ウリカーゼに関与している補酵素が不明であったところが本研究で明らかにされた。次年度において、本格的にフラビン酵素よりPQQを含むクロモフォアの単離にとりかかり、研究を完成させる予定である。
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