研究概要 |
放線菌のN-アセチルムラミニダーゼを阻害する物質を生産する細菌No.SMK-6024株(Bacillus megateriumと同定)及び卵白リゾチームを阻害する物質生産菌No.I-139株(Bacillus subtilisと同定)を分離した. No.SMK-6024株の生産する阻害剤を硫安塩析, SP-セファデックス, セファクリルS-200カラムクロマトにより均一に精製し, LEIと命名した. LEIは放線菌のN-アセチルムラミニダーゼを強く阻害したが, 動植物リゾチームには阻害力を示さなかった. 分子量16000からなるサブユニットが二量体として存在し, 等電点は6.7であった. LEIをI_2として表すと, EI複合体はE_2I_2の形で存在することが明らかとなった. No.I-139株の生産する阻害剤を硫安塩析, DEAE-セファデックス, セファクリルS-200, DEAE-トヨパールカラムクロマト, 固定化卵白リゾチームカラムを用いたアフィニティークロマトで均一に精製し, I-139と命名した. I-139は各種鳥類の卵白リゾチーム, 人乳リゾチーム等動物起源の酵素を強く阻害したが, 植物, 微生物起源の酵素には作用しなかった. このI-139の組成分析より, 精製したと考えていたものは, 脂肪が約70%も含まれていることが分り, 有機溶媒処理で脱脂することができた. このものの分子量は14000であり, 卵白リゾナーム(分子量14000)と複合体(分子量28000)を形成した. このI-139のアミノ酸組成は, Leu, Val, Glu, Asp, の4種のアミノ酸が大部分を占める異常なものであった.
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