研究概要 |
光学異性体間の人間の嗅覚に関する構造と活性相関を研究する目的で我々が絶体構造式を決定したマルメロ果実の芳香成分マルメロラクトンの可能な4種全ての光学純度100%の化合物の合成を試みた。D-及びL-グルタミン酸を原料として合成したが光学純度は70%強であったので糖を原料とする合成を試みた。以下に図示する経路で合成を行なった。C-3位のメチル基の立体化学は制卸出来なかったが(3R)、(3S)をクロマトで完全に分離することが出来たので一度の合成で両エナンチオマーを得た。 合成した【A_1】,【A_2】,【A_3】,【A_4】は長谷川香料株式会社に依頼して官能検査を行ったところ(2R)一体【A_1】,【A_3】が(2S)一体【A_2】,【A_4】に比べ強いマルメロ果実の芳香を有している。【A_1】,【A_3】間では殆んど差が無い、という結果を得た。この結果は二位のメチル基の立体化学が(R)であることが芳香性に重要であることを示すものであった。
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