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1986 年度 実績報告書

食品蛋白質の凍結変性の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 61560144
研究機関京都大学

研究代表者

土井 悦四郎  京大, 食糧科学研究所, 教授 (40027181)

研究分担者 北畠 直文  京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (30135610)
キーワード凍結変性 / 低温変性 / 食品の冷凍保存 / 蛋白変性 / 卵白アルブミン / 筋肉ミオシン
研究概要

食品蛋白の冷凍保存中に生じる凍結変性について基礎的知見を得る目的で以下の研究を行った。
(1)卵白オボアルブミンを材料として、その凍結変性の特質を明らかにするために界面変性、熱変性、酸変性、尿素変性と比較した。尿素変性では、球状蛋白である卵白アルブミンがほぼ完全にunfoldし、ランダム構造をとる。酸変性では二次構造には殆ど変化が認められない。熱、界面、凍結変性ではいずれも二次構造上の変化が生じているが、なお球状に近い構造を有していると考えられる。しかし元のnativeな状態から変化していることは、沈殿あるいは凝集物の形成、ならびにプロテアーゼによる消化性の増加より明らかである。熱、界面、凍結変性で共通の現像は、その不可逆性にある。変性蛋白は常に重合して凝集沈殿する。凍結変性と界面変性は、蛋白濃度が低い程、変性程度が著しく、この点で熱変性とは異なる。またTriton x-100、Tween20のような界面活性剤が存在すると凍結変性と界面変性は防止される。凍結変性は凍結した蛋白を比較的氷点に近い温度(-10゜〜-3℃)に保存した時に最も良く生じる。
(2)以上の結果を更に他の蛋白質に適用するために、兎筋肉のミオシンを単離して、凍結変性の実験を行った。ミオシンの凍結変性も定性的には卵白アルブミンと同様であった。すなわち、蛋白濃度が低い程変性し易い。界面活性剤Tween20の存在により変性は防止される。界面活性剤の防止作用は、糖類(グリセリン、しょ糖)の作用と相乗効果を有する。
以上の結果にもとづき、蛋白質の凍結変性の機構について、新しいモデルをつくることが出来た。またこの結果により食品蛋白の冷凍保存に新しい方法を提供した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 土井悦四郎: New Food Industry. 28. NO.6 80-88,NO.7 60-6 (1986)

  • [文献書誌] 土井悦四郎: Agric,Biol,Chem.,.

  • [文献書誌] 松本幸雄,山野善正 編: "食品の物性 第12集" (株)食品資材研究会, 248 (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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