研究概要 |
1.糸状菌(保存株及び野生株)約100株についてスクリーニングした。麦芽培地で静置培養(24゜C,2〜3週間)した菌体及び濾液の有機溶媒抽出物のトコフエロール(Toc)との相乗効果を、ラードを基質とするAOMで検討した。活性の高い菌株(約10株)については麦芽培地で大量培養し、抽出物はシリカゲルクロマト,TLC,ゲル濾過等にかけて有効成分を単離,同定した。Penicillium communeの生産する有効成分の元素組成は【C_7】【H_8】【O_3】で機器分析並びに合成品とのスペクトル比較の結果、gevtisyl alcoholと同定した。本物質の抗酸化性は、ラードに0.025%添加した時AOM約160時間であったが、Pocとの相乗効果は余り認められなかった。Penicillium sp.の生産する2種の有効成分は、P.herqueiの代謝産物であるherqueinone誘導体であった。また、別のPenicillium sp.の生産する物質としてcitrininを単離した。本物質の抗酸化性は、ラード0.1%添加でAOM約210時間であったが、Tocとの相乗効果は余り顕著でなかった。顕著な相乗効果を示すxanthone系化合物を未同定株より単離したが、現在構造を検討中である。本物質の抗酸化性はラード0.1%添加でAOM約310時間,Toc(0.04%)との相乗効果においてAOM約700時間であった。 2.放線菌(野生株)約80株についてスクリーニングした。振盪培養(28゜C,4日間)した濾液の酢酸エチル抽出物についてTocとの相乗効果を、リノール酸メチルを用いる重量法とAOM(ラード)で試験したが、数種の菌株について有効性が認められたものの、糸状菌と比較して著しく弱かった。3.Salmonella typhimurium TA98,TA100を用い、+S-9,-S-9系で変異原性試験を行った。gentisyl alcoholは強い抗菌力を示した。cotrininをはじめ、その他の単離した物質について、プレート当り1〜1000μgの範囲で変異原性は認められなかった。
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