研究概要 |
チャ生葉中みどりの香り発現のメカニズムの解明に於けるα-Linolenic acidあるいはLinoleic acidから13-hydroperoxide(1)をへて(3Z)-hexenalあるいはn-hexanalと11-formyl-(9Z)-undecenoic acid(2)を生成するステップで, ここでは『(1)→(2)への開裂反応に際する, 11-formyl-(10E)-undecenoic acid(3)への異性化を伴う開裂-異性化の相関について明らかにする』ことを目的とし研究を行い, 以下の様な成果をえた. (ア)異性化経路の確立:前年度合成した(2)およびその(3E)異性体(2′)を同定物質として用い, 異性化の経路は(1)→(2)→(3)の経路を通り, (1)→(2)→(2′)→(3)でないことを確認した. (イ)異性化要因の局在性:今までは詳細な実験でも(a)酵素によるのか(b)それ以外の要因なのか(c)その両者であるのか不明であったがその要因はi)クロロプラストの8,000gの沈澱画分に多く存在しているのでクロロプラストリッチ画分である. ii)熱エタノール可溶画分に局在することが判った. iii)熱に安定である. (80°C, 20分)で酵素以外の要因である. (ウ)異性化条件 i)pHはアルカリ性になる程異性化は高くなる. ii)塩濃度の影響はあまり受けない. (濃度25mMで最低の異性化を起す)iii)インキュベート温度によって熱力学的に(1)→(2)→(3)のような順序で異性化を起す. (エ)開裂の反応:開裂経路に於いては, 異性化は起らない. 〓, (1)の(9Z)の幾何異性保持のままである. (オ)開裂の基質特異性:(1)_<13>-(9E, 11E)は基質となりえない. (b)^<18>Oの取込み:^<18>Oの(1)→^<18>Oの(2)〔直接CH^<18>Oでキャッチ〕その結果, 開裂酵素はi)OOH基および, ii)(9Z, 11E)の共役二重結合を認識し, (9E, 11E)は認識しないこと, 分子の大きさ, 末端アルコール基の影響が大きいと, ^<18>O-(1)→^<18>O-(2)がえられたことから前報のメカニズム(Z.Natu^<11>rforsnhung, 41C, 359-362(1986)は正しい. 開裂反応と異性化反応は各々別のステップにおいて進行していることが確認された.
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