研究概要 |
1.現地林の調査及び資料収集 岐阜県今須地区と滋賀県谷口地区のスギ・ヒノキ複層林を踏査し、両地区にそれぞれ3個の標準地を設定し調査した。今須地区でスギ標準木3本を伐倒して測定用円板を採取し樹幹解析を行った。データは、標準地の林分構造,立木の幹形,欠点及び被害,樹幹解析総括表として整理した。関係の森林施業等の文献も大方収集した。 2.現地林の構造特性 複層林(スギ・ヒノキ)のモデル的構造を必要とするので、両地区の森林構造を歴史的にも検討し、多段林型は無理があり、100年以下の林木群の場合には3層構造をモデルとすることが適当であると認めた。谷口地区は単層林化の傾向が強く高令化しており、施業的にも活気のある今須地区の代表林を主にして幹形管理を比較検討することにした。 3.林木の健全性問題 倒木,凍裂害,幹折れ及び幹の屈曲等に対し、下層木の雪おこしや、ぬき伐り、枝打ち等で対応している。幹形的には、根張りの発達と樹冠・幹の屈曲・折損に焦点をあてることにした。地上10m又は15m以上の部分での折損は、枯損・腐朽に影響しない限り収獲上致命的でなく生育立地上やむを得ない面があると判断された。 4.複層林では、樹幹各部の直径生長や幹形変化に大きな違いが生じ、樹幹解析木や上部直径測定木のデータから解析し分類検討中である。パターン的に考えられることは、地上15mを境にして大略の傾向が区分でき、15m以下の部分に複層林の生長特性が集的されているようである。根張りの発達は、一斉林の林木を含めての人工林では、胸高直径10〜12cm程度から始まり進んでいくと考えられた。 5.完満性及び年輪構造は利用率や材質との関係が深いので、新たな樹幹解析法を考え、幹形とその変化,上部直径の生長量計算法等について改良した。総合的に諸資料とも比較した。
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