研究概要 |
本年度に実施した研究の結果を要約すると下記のとおりである。 1.カラマツ立木への荷重負荷方式および変形測定法の検討 (1)地上高1.2mでの径級が約25cm以下の立木に対しては、長さ1.2mのアームを樹幹に取付け、試験者の体重を荷重とする曲げモーメントを加え、この時のたわみを千分の1mm精度で測定(区間長1m)することにより樹幹ヤング係数が算出できる。測定は互いに90°をなす2方向について行う必要がある。 (2)これより大径の立木では、樹幹に取付けたワイヤーをレバーブロックで巻きあげる等の作業を要し、変形測定にも時間がかかり能率が良くない。 2.樹幹の曲げヤング係数の現場測定に当たっては、地形,林床の状況あるいは風の有無により影響を受けるが、前述の1(1)のばあい、1本当たり約10分を要するため、1林分につき10〜20本の試験木を選定するのが適当である。 3.供試立木を伐採し、試験機による曲げ剛性試験結果と照合したところ、現場測定により得られた樹幹ヤング係数の値は実用上充分な精度を有するものであることが判明した。 4.供試丸太から得た標準試験片(JIS準拠)に関する一連の強度試験より、立木の状態で測定されたヤング係数が、この立木から得られる木材の各種の利用材質と高い相関を有する事がみとめられた。 以上のように、この非破壊曲げ試験により径級約25cm以下の立木の樹幹ヤング係数がほぼ正確に求められることから、林分内の個々の立木の材質比較はもとより、林分間の比較さらには立地条件による材質の比較あるいはこれらの経時変化に関するデータが得られるものと考えられる。 次年度は北海道内における主としてカラマツ立木の樹幹ヤング係数の地域的分布を調査し利用材質の予測を行うとともに、林業での造林樹種選定の基礎となる資料も提出する計画である。
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