研究概要 |
国産針葉樹造林木の有効利用の一つとして、短尺単板を用いる合板(Laminated Veneer Board:LVB)の製造条件と材質の関係について実験を行った。 1.曲げ性能に及ぼす単板縦つぎ部間の距離の影響 最大曲げモーメントMoは、ラワン材を用いたものよりもはるかに変動が大きかった。これは針葉樹材の組織構造がラワンに比べて不均質であり、縦つき部底部に春材が来るとMoは小さくなる。また、Moは縦つぎ部間の距離Dを80mm以上にとればプライ数に関係なくほぼ一定値を示し、第2局に縦つぎ部のないもの(D=∞)と同等の性能を有することが認められた。なお、最外層縦つぎ部の上部の健全な部分の厚さtoに対するDの比D/toは最外層と第2層にジョイントのあるものの強度Onと最外層のみにジョイントのあるものの強度Ooとの比On/Ooとつよい関係があり、D/toが10以上であればOn/Ooは一定となり、その値はほぼ1.0になることが分った。 2.スギ,ヒノキ,カラマツ単板の接着性 ヒノキ,カラマツ単板の接着は、とくに問題がなかったが、スギ単板については、やや問題があることが判明した。スギ単板では、ロータリー切削の仕上りが悪く、裏割れが多数発生すること、表面性がよくないこと、また厚さムラが生ずることなどが接着性能を低下せしめているようである。ロータリー切削の条件を再検討しなくてはならない。 3.実大LVBの材質 曲げ性能,集中曲げ荷重に対する抵抗性、パネルシァーせん断弾性係数等を測定したが、ラワン構造用合板に匹敵する値が得られた。実際の使用上もラワン合板と同等に使用できるものとの結論を得た。
|