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1986 年度 実績報告書

木材セルロースの結晶構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 61560183
研究機関東京大学

研究代表者

岡野 健  東大, 農学部, 助教授 (30011927)

キーワード木材セルロース / セルロース結晶 / X線回折 / 結晶構造解折
研究概要

天然セルロースの結晶格子定数やX線回折強度に、セルロースの起源による差異を見出したので、代表的な起源である木材からアカマツ,カラマツの針葉樹材2種とケヤキ,レッドメランチの広葉樹材2種を選び、酸加水分解に伴う結晶構造の変化を解析することにより、木材セルロースの結晶構造を検討した。
1.未処理の段階で、結晶格子定数のうち軸率には試料間の差は無いが、軸角γには差があり、針葉樹材の方が約1.5度大きかった。X線回折強度比【R_1】=【I_(002)】/【I_(004)】は針葉樹材の方が小さく、【R_2】=(【I_(1(~11)0)】+【I_(110)】)/【I_(200)】は逆に広葉樹材の方が小さく、両グループ間に構造の違いがあることを示し
2.酸加水分解によって以下の変化が見られた。
(1)軸角γは針葉樹材で小さくなり、広葉樹材で変化が小さかった。
(2)回折強度比【R_1】は針葉樹材,広葉樹材ともに小さくなったが、その程度は広葉樹の方が著しく、したがって両者の差は減少した。
(3)回折強度【R_2】は針葉樹では変化しなかったが、広葉樹材では増加した。以上の結果から、酸加水分解処理によって、針葉樹材と広葉樹の差異が少くなり、元素存在した差異は加水分解によって除かれるようなもの、例えば、非晶セルロースやヘミセルロースによって生じていたものであろう。
3.未処理ならびに加水分解処理材のX線回折データを満足するセルロースのコンホメーション、とくにメチロール基の酸素の位置ならびにセルロース鎖のパッキングエネルギーを計算し、以下の結果を得た。
(1)メチロール基の酸素はtgの位置であろう。
(2)加水分解処理によって、セルロース結晶の構造は針葉樹材,広葉樹とが同一のモデルに近づいた。したがって、木材セルロース結晶は元来1つであろう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 岡野健: 木材学会誌. 33. (1987)

  • [文献書誌] OKANO Takeshi: BIOPOLYMERS. 27. (1988)

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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