研究概要 |
水系で高濃度のTDIプレポリマーを利用する場合は、水との反応が激しいため木材小片等の湿式接着における結合剤としての利用が困難である。この反応抑制のための有効手段として、逆に過剰の水を添加する方法を案出した。反応抑制のために各種エマルジョンの併用を試みたが、数パーセントのTDIを含む系に過剰の水を添加するのが経済的にも有利で、かつ木材小片等の結合剤に用いて成型接着するのに十分な可使時間が得られた。実験室合成のTDIは量的に限度があるため、市販のTDI化合物を入手し、これによって利用研究を進め以下の研究成果が得られた。 1.TDIエゲル化物はゴム弾性を持つエラストマーを形成するので、乾燥フィルムを作成して粘弾性率測定を行なった結果、熱処理によって架橋仕が進み引張強さなどの材質が向上した。また、TDIに典型的な鎖状および枝分れプレポリマーを併用するとやはり一般材質の向上がみられる。 2.反応抑制機構の解明については、水系でゲル化させたフィルムのIR,DSC測定によって検討を加えたが、ジイソシアネート化合物の典型的な反応によって、ユリア結合,ウレタン結合さらにはビュレット,アロフアネート構造にまで進むことが明らかになった。この過程は加熱によって促進されるが、160℃以上の温度では一部分解による劣化が生ずるようである。 3.過剰の水を含む水系でTDI化合物を反応,ゲル化させることにより、鋸屑等の木材小片の湿式成型接着が可能であることを見出し、成型したフレキシビリティに富むシートの材質について検討を加え、結合剤であるTDI添加量,熱処理による材質変化,即ち引張強さ,伸長度,吸水率,厚さ膨張,表面性能,圧縮戻り試験など多方面の用途を考えた応用試験を実施し、新利用分野の大きいことを確認した。
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