研究概要 |
1.産卵刺激物質の室内検定法をほぼ確立した。 (1)8個体を同時に観察できる金網製検定装置を作った。(2)産卵を行う場自体としてのろ紙、基盤としてのマツ・ステンレス薄板でもって、樹皮と遜色のない人工的産卵の場を作り得ること。(3)産卵には樹皮片や人工的産卵の場は30%以上の水分量が保障されること。(4)産卵反応を経時的に観察し、9月初旬まで生物検定が行えること。 2.産卵刺激物質の検索 (1)アカマツ外樹皮の活性は低く、その内樹皮の活性が著しく高いこと。(2)産卵刺激物質はメタノールよりも熱水によって抽出されること。(3)内樹皮の熱水抽出液を水冷した時生じる沈澱物のDMF可溶部が内樹皮に匹敵する活性を示すこと。これをエーテル中で加熱還流し、可溶部を除去しても活性は低下しないこと。活性油分無存在下で活性を示すこと。(4)これに反して、ヘキサン,エーテル,酢酸エチル,ブタノール及びアルコール/ベンゼン混合液可溶部は無活性もしくは微弱な活性を示すこと(5)その他の8樹種の樹皮のうちヒノキ樹皮が若干の活性を示すこと。 3.活性DMF可溶部の化学的特徴 (1)約70%がフェノール類であり、その約90%がフラバノール類であること。フラバノールのほとんどがプロシアニジンであろうと推定されたこと。(2)約30%は糖類であること。この糖類はフコースのようなデオキシ糖から成る多糖類であろうことが示唆されたこと。 4.今後の研究の展開 変質防止,抽出法の検討,含まれる成分の徹底的分析,これに基ずく精製法の検討,活性本体の解明
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