研究概要 |
〔目的〕戦後に拡大造林されたわが国のカラマツ・ヒノキ・スギ林の多くが間伐期をむかえ、これら針葉樹間伐小径木を原材料とした針葉樹合板やLVL・LVBの製造が注目されている。これに伴なって未成熟材や生節を含む針葉樹小径木の単板切削技術の検討が急務とされている。この単板切削では単板品質(裏割れ・厚さむら・面粗さ・ナイフマーク・バーマーク等)や、刃詰り・ナイフ及びバーの欠け等が問題になる。 そこで、これらの問題に対する対策として、ナイフとノーズバーの水平開き(ロータリーレースでは垂直開き)を一定とし、垂直方向は一定圧になるような新しいノーズバーの機構を用いたレースについて検討した。 〔実験〕切削実験装置本体にはフライス盤を用い、そのコラムに片持梁を取り付け、その先端に刃物を固定した。ノーズバーホルダーはノーズバーの先端から約13cmはなれた支点を中心に回転するようになっており、これによってノーズバーは上下に自由に動くようになっている。垂直方向の荷重はノーズバーの真上の台に重りを載せることによってコントロールした。節の切削を想定した場合の試験片は、スギの枝材を3本横方向に接着して10×10×60(mm)の大きさにしてその木口面を切削するようにした。 〔結果〕ノーズバーを作用させないと裏割れが生じるような切込量でも、ノーズバーによる垂直方向の荷重を増してゆくと裏割れは減少した。裏割れのなくなる荷重は、切込量が大きいほど大きかった。切屑の表面粗さは荷重が大きくなるほど小さくなり、厚さむらも小さくなった。切削抵抗は枝の切削時の方がかなり大きく、特に背分力が大きいということは刃物にとって枝の切削は苛酷な切削条件といえる。枝を切削(気乾材,刃物角20゜,SKH9)する場合,切込量が0.4mm以上になると刃先の鈍化が著しくなり切削抵抗のばらつきが大きくなった。
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